ラン 虹の橋へ

ねぇ、ラン。いなくなってしばらくたっても、まだランのいない生活になれません。
仕事が終わると「急いで帰らないと!ランが一人で待ってる」って思って、
「あっ。いないんや」って気付いた瞬間、切なくなるよォ。
玄関に入ると、ランに聞こえるように言ってたあの「ただいま!」
今でも、言っちゃうの。ランもその声に答えて頭を上げ、じっと目を見てくれてたね。
ランがいる。そんな毎日が幸せだった・・・このままでいいから生きててほしかった。

ベランダを掃除してると、ランの白い毛がいっぱい出てきた。
掃除機のパックの中にはランの毛がいっぱい詰まってた。
ランが亡くなって、初めてかえた。
これでまた、ランの痕跡がなくなってしまう。
時折、じゅうたんにランの毛を見つけるといとおしく思えて大切に取り上げる。
ランが寝ていた場所を自然に見ちゃう・・・
寝たきりの生活の頃、「今日は、目がパッチリしてるよ」「元気がないから、早く帰ってきて」
「ランのオシメのサイズ何?」とか、他にも色々とランの状況を報告したり、連絡していた
携帯のメール。 今でも保護しています。いっぱいあるねんよ。ラン!

この前ね、ランのアルバムをちゃんと整理しようと思ったの。
ランの幼い時の写真、一緒に写ってるねーちゃんやにーちゃんが小学生なの。
こんなに小さい時から一緒やったんや〜、すごいね!ラン。改めて思うよ。
ねーちゃんにとって、人生の中で初めて飼う犬がランで良かったぁ。

ランにいっぱい、いっぱい楽しさや笑い、そして癒してくれたのに
私達はランに何分の1のお返しもしてない。
亡くなってから、あんなこともしてあげれば良かった、こんなこともしてあげれば良かった、
色々思うの、後悔するの 自責の念に駆られる毎日だった

ランが病院に通い始めた時からつけてきた、2ヶ月位のランの日記。
それを読み返すと、胸が痛くなり切ない。息苦しくなり血の気を失うような感覚に襲われた。
でも これが現実 しっかりと目を開けて受け止めなくては・・・
これを読むとランの痛みがよく分かる 
<ほんとに苦しかったね つらかったね ごめんね 治してあげられなくて>と
言う文字がよく出てくる。
その度に鼻がつーんとして目頭が熱くなってくる。
「ほんとにランはよくがんばった」と誉めてやりたい!

最期の「ワンワン」は今でも 私はランが私たちにお礼を言ったんだと信じています。
薬を無理やり飲ませ吐き出したのも「ねむらせないで・・・1秒でも長く
お母さんやお姉ちゃんの顔を見ていたいの」とでも言いたかったのかも・・・
ランはあの時 確実に迫りくる「最期の闘い」をしていたのだった。
だから2度目の薬を飲ませ眠ったと思っていたのに。
普通あの薬を飲んだら朝までおきることはないのに 
あの動きは「みんなありがとう もっと生きたかったけど
私も力尽きたから・・・ だからもう逝くね・・・」って
大きく体をうならせたね。

そして動きが止まりびっくりして体を叩いたり 大きな声で名前呼んだり
 「死んだら駄目 もう一度目を開けて がんばって」など
いろんな言葉を何度繰り返したことだろう 
後から思えば、一度目の呼吸 そして二度目の呼吸は大きく吸って「ありがとう・・・」って
言ってるようだった。

そして、深い眠りに落ちていくラン。
もう二度と、あの丸いあどけない瞳で
私たちを見つめる事はない穏やかで優しい寝顔だった。

あの約2ヵ月が嘘のような安らかな姿。
あんなに辛かったのに苦しかったのに、そして最期の日
普段滅多に吠えないあなたが 何度も何度も
『ワンワン』って・・・
あんなに我慢強かったあなたが泣いたもんね
ほんとに痛かったんだね。
でも 家族の心はもっと痛かったんだよ
あなたを治してあげられなくて・・・

最後の最期まで゛どうしてランはそんなに綺麗なの?
これでほんとうに楽になったんだね

ラン 今でもおとうさんがよく言うのよ
「あいつは ホンマに綺麗な顔してたなぁ」って

白い毛の中に金色の毛が所々あり
それが、朝の日差しに当たって光っていた。
その毛が大好きだった。
愛してやまないラン。あなたがこれほどまでに美しい犬だったなんて・・・
 家族は皆 美しいあなたの最期の姿を誇らしく思いました。

私たちが大好きだった耳の後ろのウェーブのかかった毛・・・
棺に入れる前に切らせてもらったの
今でも 家族みんなその毛を大事に持ってますよ

16年7ヶ月 私達が共に生きたランは間違いなく最良のパートナーでした。
「虹の橋」へと旅立ってしまったランの安らかな眠りを祈って・・・

ランの骨の一部と灰は今も田舎の沖縄の海に眠っています


そして 最後にもう一度だけ言わせてね

ありがとう ラン・・・